ねじの緩みについて

LABORATORY
OF A SCREW
ねじの研究室

ねじの緩みについて

ねじの締結はボルト・ナットの締め付けによって軸部に発生する張力と、被締結部に発生する圧縮力によって両者が一体化されることで完成し、予張力という力で釣り合っています。

その後、締結された部品を使用することで外的応力が加わり、予張力が減少することが”ねじの緩み”であり、これには様々な理由があります。ここでは様々な緩みに関する原因・用語を掲載します。

⇒初期緩み

締結状態では非締結部材、ボルト座面、ナット座面、平座金面などの接合面がそれぞれ負荷状態にあります。それら各々の接触面には加工時に発生した凹凸があり、最初の締め付け時に凸部は平坦になりますが、締め付け後に作用される外力によって平坦化が進んで、締め付け力が低下(緩む)する現象です。

⇒陥没緩み

締結軸力によって被締結体表面に、ボルト・ナットの座面陥没が進行し締め付け力が低下(緩む)する現象です。

⇒ねじの降伏による緩み

予期しない過剰な外的応力が締結部に負荷したとき、ボルトの弾性域を超えて降伏し、締め付け力が低下(緩む)する現象です。(地震後の構築物、衝突・衝撃、締め付けトルクオーバーで使用など)

⇒膨張係数の相違による緩み

被締結部材と締結ねじの材質が相違する場合、締め付け時と違う環境・温度変化の激しい環境で使用した場合、その材質尾膨張係数で緩む現象です。

膨張率 被締結材質 > ねじ材質 の場合温度上昇 締まる

    被締結材質 < ねじ材質 の場合温度上昇 緩む

*温度下降の場合は逆になります。

⇒被締結物部材のヘタリ・負荷接触部の摩耗による緩み

繰り返し使用でガスケット・シムなど被締結部に使用されている部品の摩耗・ねじの負荷接触面や部材同士の接合面などの摩耗で締め付け力が低下(緩む)する現状です。

⇒応力の弛緩による緩み

使用している環境で応力が時間の経過とともに減少していく現象です。リラクセーションとも言われます。高温で使用される場合、ボルト・ナット・被締結体の相互でその現象が発生しやすいようです。

⇒軸の往復回転繰り返しによる緩み

1本のねじが締結と回転の軸を兼ねて使用されている場合、ナットの戻り回転の力を蓄積し緩む現象です。

⇒軸と直角方向に繰り返し往復移動による緩み

被締結部材同士が、軸に直角方向に往復スベリを繰り返す場合、ナットに戻り回転が生じて緩む現象です。可動板/固定板で接合の場合などの使用状況です。

⇒軸方向荷重の増減による緩み

被締め付け部材同士を、ねじ軸線方向に引っ張ったり緩めたりして軸力を増減した場合、ナットがボルトに対して微量ながら戻り回転する現象があるとされています。

⇒慣性トルクによる緩み

回転軸に締めているナットに、急回転又は急停止により、戻しの慣性トルクがかかり緩む現象です。