締付けトルク(計算式)

LABORATORY
OF A SCREW
ねじの研究室

締付けトルク(計算式)

締め付けトルクとは、ねじを締め付ける時にスパナを回すときに必要な力のことで、ここでは、一般的によく使用されるトルク法による締め付けトルクの計算方法をご紹介します。

⇒適正締付けトルクについて。(JISB1083概要から)

「JISB1083 ねじの締付け通則」の”ねじ締付けの意義”に、ねじ締結体の信頼性を確保するためには、設計段階においてねじ締結体としての機能を十分に果たすボルト・ナットの使用、締付け力等を使用実績及び強度計算によって決定し、締付け作業段階では指示された初期締付け力を忠実に実現する事が重要。そのためには締付け方法の特性を十分に理解し、締め付け指標の管理を正しく行う必要があると記載されています。

⇒トルクと締付け力の関係(弾性域締付けによるトルクと軸力の関係)

一般にボルトを締付けた場合は(図1)aのように、単純引張bより低い値で降伏し、相対的に軸力が低下するのが通常です。この低下率は、ねじ面及び座面の摩擦係数が大きいほど大きく、摩擦係数は被締め付け物とめねじの材質、潤滑状態等により決まります。通常トルク法によってボルトを締め付ける際の適正締付け軸力は、規格耐力(下降伏点)の70%を最大とする弾性域で決められます。

⇒トルク法締付け 計算式

●一般にトルク(Tf)と軸力(Ff)の関係は(1)の式で示されます。
   Tf = KxdxFf  ・・・ (1)
   K:トルク係数     d:ねじの呼び(cm)
●(図2)のように、Kのばらつき、Tfの設定許容値等により(1)の式は、(2)の式に置き換えられます。
一般にはこの(2)の式で、締付けトルク(TfA)が決定されます。

TfA = 0.35K(1+1/Q)・σy・As・d  ・・・ (2)
    As:ねじの有効断面積
     d:ねじの呼び(cm)
     Q:締付け係数
    (Q=Ffmax/Ffminで表しバラツキの尺度の目安となります。
     締付け方法や用具等により相違します)
    σy:耐力(下降伏点)
     K:トルク係数
     (ねじ面の摩擦係数μsと座面の摩擦係数μwで決定)
     組み合わせ条件でkの値に差があり、締付け軸力のバラツキを生む要因となります。

⇒初期締付け力と締付けトルク

上記の計算式をもとに六角穴付きボルトで計算した「適正締付トルク一覧表」となります。